全日本選手権(サポート)

 

朝3時15分に目覚ましに起こされる。

通常の朝練は4時半だから1時間ちょっと早いだけだが

ここでの1時間はかなり眠たい。

4時を越えたら朝だけど、3時台は夜中と思う。

 

こんな早くに起きて何をするかと言えば、栃木県で行われる

U23全日本選手権へチームのサトチンを連れて行った。

知らない人もいるかと思うので、少し解説するが全日本選手権

名前の通り、日本のチャンピオンを決める大会だ。

昔は年齢別カテゴリーは無かったが、今はエリート(成年)、

U23(23歳以下)、U17(17歳以下)とU15(15歳以下)に分かれている。

この大会で各世代のチャンピオンが生まれる訳だ。

 

主催は我々がいつもお世話になっているJBCF(全日本自転車競技連盟)ではなく

その上部団体JCF(日本自転車競技連盟)によっておこなわれる。

つまり、日本の登録競技者・・・学生、実業団、プロが一同に会して、日本チャンピオンを

決める大会だ。

実はこの大会は出たいと思っても簡単には出ることができない。

国内の主要大会で上位の成績を出したものだけが参加の権利を得られる。

戦いはエントリーの前から始まっているのだ。

 

話しは戻るがなぜ全日本選手権が特別視されるのか少し解説する。

日本一を決める大会であるので、特別な大会であることは当然だ。

誰もが憧れる日本チャンピオンのジャージを手にしたい。

日本チャンピオンになりたい!

1年間着用する事が出来るチャンピオンジャージを着て走る事、

それは競技者の一つの到達点でもあるだろう。

 

しかし、志し高き選手がこのジャージを渇望する理由は他にもある。

日本チャンピオンや上位入賞者になればJCFの強化対象選手になれる

確立が非常に高く、海外遠征や世界選手権に選ばれる対象者にもなれるのだ。

いくら実業団の成績を重ねても、参考にはされても、強化選手になるのは難しい。

 

若くして単身海外に打って出て、海外のクラブチームで成績を収めて海外の

プロチームにスカウトされて、プロ選手として戦うと言う方法も偉大な先人が

道を開いているので今ではハードルが低なり、一つの方法として確立してはいるが、

全日本選手権で好成績を上げて、強化選手になり、ナショナルチームの一員として

海外遠征に向かうのは、自転車競技界の王道と言えるだろう。

そういった部分が、いやが応にもこの大会が特別視される理由だ。

 

通常実業団のレースはPで100K前後、E1でながくて100K以下で短いときは

50K以下だが、今年の全日本選手権U23が160Kでエリートに至っては240Kと

破格に長い。おそらく世界のナショナル選手権の通例に習っているのだろうが

普段こういった距離のレースや練習をしていない選手には相当に厳しい、

単にに距離だけでも厳しいのだが、全日本選手権のコースは一定以上の

勾配を含む為、レベルの高くない競技者では完走する事もおぼつかない。

 

更に完走を難しくするのが、足切時間の短さだ。

今年に関しては結果的に集団にそれなりに人数が残り、足切時間も長く取って

いたようだが、2013九州で行われ新城選手が優勝した大会では完走が16名

という厳しさであったようだ。

 

さて、そんな厳しく格式高い全日本選手権に初出場したサトチンだが残念ながら

落車に巻き込まれ、実力を発揮できずリタイアを余儀なくされた。

1年間この日を目標に距離を走りこみ、距離が走れても途中で遅れてはレースに

ならないよと言う私のアドバイスに従い、平日は追い込む練習を行い、機材と

体調を万全に整えレースに挑んでも、一回の落車ですべてを失う世界。

 

集中力が無いとか走る位置が悪いって事を言う人がいるがほんとにレースを走った

事が有るのか?どう走ってもこけるときはこける、2番手を走る選手が落車するときもある。

落車する選手の後ろを走っていれば避ける事は出来ない。

落車の確率は減らす事は出来ても、ゼロにはならない。

コンタドールだって落車するのだから。

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サトチンには不運だったが、春になれば桜が咲き、夏になればセミが鳴くように

6月になれば毎年全日本選手権はやってくる。

まずは出場権の確保からだな。

皆が応援してるぞ、頑張れ若造!