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引継がれるもの

 

近年、DNAの解析技術が長足の進歩を遂げている。

死刑囚の再審請求が通ったり、拘留が解かれたりする

ニュースが新聞の1面に。

今まで証拠がなく真実の証明が出来なくて、罪をを負わされた方々が、

最新のDNAの解析を用いた新証拠で無実を証明する。

 

難しい話は置いておくと、DNAは個人を完全に特定できる遺伝情報だ。

個人の特定のみならず、自身の来歴・・・ルーツが解る。

父、母、祖父母、曾祖父母・・・

人類の起源には諸説あるようだが、ある研究者は『現代人の共通の祖先は

13~17万年前のアフリカの女性に行き着く』としている。

 

『巨星墜つ』

ロードレースシーンの一時代を作った森師匠が亡くなられた。

この訃報に触れた、森師匠とほんの一時でも一緒に過ごした競技者は、

いや競技者だけでなく、森師匠を知る全ての人は悲嘆にくれる。

 

森師匠とは、オーストラリアでのステージレースでご一緒させて頂いた。

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※右から鳥屋尾、大石、高橋、森、私(敬称略)

 

10日間のレースに前後を合わせて15日ほどは寝食を共に過ごした。

試合前に大石さんと共に来阪し、東大阪のクワハラの寮に泊まって頂き

そこから練習へ行った。

十三峠を一緒に登ったのを覚えている。

 

オーストラリアでは午前のクリテリュウムと午後のロードレースの合間に

うたた寝をする私に、『目をつぶっても、寝てはいけないよ』と優しく

注意をしてくれた。

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※西村マネージャーと森さん、大石さんと

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※これは貴重な写真だ。白いカスクが渋い。

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※最終ステージ終了後だと思う。

 

沢山レースにご一緒させて頂いたが、若造だった私には、その意図さえ

解らない位に、大胆かつ繊細な戦略と走りをする方だった。

森師匠の戦績は改めてここで書く必要もないが、その戦績だけでなく

人柄が大きく評価され、そこに人が集まる。

 

ミヤタレーシングのキャプテンをされていた。

そのもとに現在日本の代表的な指導者である、高橋さんや

三浦さんをはじめとする、強豪が集いミヤタレーシング最強時代を築いた。

 

ミヤタから始まる森イズムの系譜は旧ミヤタの選手にとどまらず、

遠征や合宿で森師匠の選手としての強さと、人間としての暖かさ

に触れた選手に引き継がれている。

 

一昔前にロードレースシーンの最前線を走っていた選手たち・・・

現在、強くなりたいと願う選手たちの、指導的な立場にある方々の

ほとんどは、森師匠の系譜の一部と言っても過言ではないだろう。

 

今日も朝練へ行ってきた。

舞洲前の最終の追い込み。

肋骨が痛く、出場すら危ぶまれるが、やれることはきっちりやる。

 

私達が祖先をアフリカの女性だと認識できないのと同様に、

今日、朝練に参加した、のいちゃん、ジョニー、イシトモくんは

森師匠のことを、全く知らないだろう。

 

若き選手が、過去を知る必要はない。

今を生き、のびのびとやればいい。

しかし、彼らが知ろうと知るまいと、

森イズムのDNAは引き継がれていく。

 

私も及ばずながら、選手たちにDNAを伝え渡す。

そこには森師匠のDNAが含まれている。

 

森師匠。心より、ご冥福をお祈りいたします。