UCIグランフォンド世界選手権2018VARESE 試合編
レース当日までに時差ぼけを解消し、脚の疲れも癒し、ベストの状態で
試合に挑むつもりの日程を組んだけど、そこはイタリア・スイスを訪れ
ている訳で…見るものが沢山あり、楽しいことが多すぎる(笑)。
結局、なんだかんだと歩き回り、観光疲れしてしまった感は今更ながら
あったかもしれない。オーストラリア大会ではそんな事はなかったから
これはイタリアの魔法にやられたのかも。
試合当日は、朝も暗いうちから起きる。昨日までは朝昼晩、三食イタリアン、
洋食三昧だったけど、試合当日の朝食にパスタ以外の朝食が思いつかず、
日本から持ち込んだサトウのごはんをおかゆにし、いのきんさんの持ってきた
出汁入り味噌をぶち込み、猫まんまを作り上げる。試合前に油もタンパク質も
不要、エネルギーだけをぶち込む。後はカロリーメイトとジェルで調整しながら
ゴールまで持たせる。
天気は悪くない、朝の引き締まった空気のバレーゼ市街を抜けスタート地点へ
移動する。前日に移動経路も確認しているので、スムーズにスタート地点へ。
もう既にスタート地点には人が集まってきているので、我々も早々にアップを
して、スタートに並ばねばあっという間に長蛇の列の最後尾になることが
予想されたので、慌てて近辺を走り回り、アップ完了とした。
スタートは各カテゴリーを7分間隔でスタートさせる形式だ。このぐらい
間隔をあけると、各カテゴリーの先頭は合流しないという経験則から導き
出された間隔なんだろうな。
さて、アップを適当に打ち切ったので、カテゴリーの2列目に並ぶことが出来て
ここまでは順調、しかし前のカテゴリーがスタートするごとに、数十メートルの
前進があるのだけど、これがなかなか曲者で、少しでも前に前にと思う同世代の
おじさんが、誠に大人げない動きでねじ込んでくる。おい!50も過ぎてるんだから
ちょっとは落ち着けよ!と言ってやりたい・・・と思いながら・・・
自分もねじ込みに行く。
そんな小競り合いを乗り越え、定刻に無事スタート。最初から速い速い。
本格的に登りが始まる12Km地点までは道は広くトリッキーではないのだが、
12Kmの登りから先は、峠道で道幅は狭く前で詰まると集団分裂、中切れをくらう
恐れが高く、良いリザルトを残したければ、この登り(Alpe tedesco)を前で
入るのが必須であるというのは、選手の共通認識であり、ましてや400人の集団
なので、遅れを取っている選手があの手この手で前に上がり、被せてくるので
自分もチャンスがあれば確実に前に上がり被せ続ける。そうしなければあっと
いう間に集団の後ろに追いやられる。まさにこれがレース。このポジション争い
の影響か、右の後ろで『カシャーン、バーン』と何かが炸裂するような落車音が
聞こえてくる。明日は我が身。無事を祈りつつ、ペダルを踏みまくる。
日本のレースでも好きなポジションは前のほう。なのでポジションキープは
いつもの基本行動として確立しているが、今回はちょっと勝手が違う。
峠の入り口に向かい、僅かな登り勾配の高速道路のような道を、体の大きな
欧州勢が踏みまくる。選手間の間隔も日本よりは微妙に狭い、ポジションキープの
難易度は確実に日本のE1レベルより難しい。途中のトンネルはほんの短い間だが、
暗くて周りが見えない瞬間があった。こう言うときのマナー、走り方は、しっかり
ハンドルをもって直進。何もしないこと。今までと変わらず
進行する。脚も止めない、もちろんブレーキもかけない。その基本通りに進行して
いると、私の脇腹にグッと隣の選手の腕が押してくる。が・・・動揺せず進行する。
みんなうまいね。
被せ、被されを繰り返しながら、何とか15番手までで進行し、このまま登りに
入れるかと安心していたら、最後の300Mほどで流れが変わり、大きな波に飲み込まれ
30番手ぐらいに順位を落とし、登りに入った。理想の順位ではないが、特に問題の
ないポジションだ。
ここからポジションをキープしていたのは、1分程度か・・・。
走れない・・・どう踏んで見てもパワーが出ない。ここで遅れたらレースが終わることは
明白なので、何とか先頭につながる列の最後にでもと踏むのだが、気合でどうにかなる
ほど自転車競技は甘くない。良いポジションで走ってただけに、そこからは大量の選手に抜かれる。もう、気合では走れないので、ライバルを意識するのでなくでゴールに向けてしっかり踏んでいく事にする。
途中、後ろから一つ年上のカテゴリーが追いついて来たので、その集団に入り回す。
この手のレースは脚の合う集団で進行できるのと出来ないのでは、かなりリザルトに
差が出る。もう順位はどうでもいいが、やり切った満足感は欲しいので、出来る限り
前を引き、完全燃焼するように走る。最後の数キロの登りもしっかり踏んでゴール。
49-54.年齢別112位。ああ、あまりにも平凡な成績。
情けなくて涙も出ない。そう、前回参加したオーストラリア大会では、ゴール後
感極まったものだが、こんな走りでは悔しいどころか、サバサバしたものだ。
オーストラリアでは14位、今回112位。まるで歯が立たない。
走れなかった要因は何だろう。確かに年齢からくる走力の低下は日々感じている。
しかし、今回のレースは年齢別で走っているのだから、条件は参加者全員同じ。
加齢は理由にならない。が、あえて言えば私は来年上のカテゴリーに上がる年齢だ。
つまり同カテゴリーでは最年長。たかが五歳の幅、され五歳というところか・・・。
もう一つの要因は大会レベルがアップしたことだ。地理的に欧州の真っただ中で行われた今大会だ、イタリアはもちろん当然近辺の自転車大国であるフランス、スイス、ベルギー、オランダ、ドイツ、イギリスから大量に選手が参加していた。遠い開催地は
敬遠していた元プロ、元トップアマがこぞって参加してきたことは想像に難くない。
話は少しそれるが、集団レベルは高く、基本的な走行技術は日本の実業団以上であることは間違いない。ただし、下りのコーナーに関しては選手間の違いはあるとしても、攻め込む選手はほとんどおらず、どちらかというと私が速いほうだったのが少し意外だった。但し、登りで千切れたため先頭付近は見れなかったのだが…。
全く良い所のなかった今大会だが、いくら分析してみても、終わったレースの結果は
変えれない。実業団のレースで本人の期待通りの成績を上げれなかった選手に言っている言葉…『試合の悔しさは、試合でしか晴らせない、次行っとこう!』
足らないところは埋める、間違っているところは改める。対策をして次に向かう。
来年はポーランド。さてどうするかね。